数年前、いや十年以上は経ったかもしれませんが8月のある日、雲仙にふらりと出かけたときのこと、石垣に囲まれた赤茶色い土をした広大な畑を通りかかったことがあります。その畑がとても気になって車を止め、手の平に土を載せた土を触りながら「赤土は粘土質が強く耕しづらい。おまけに肥料が流れ出しやすい性質なのにこれだけの広さで作るということは赤土の癖を利用してミネラル豊富な土をうまく利用しているんだろうな」と思ったんです。
青空が広がり、眩い太陽の光が降り注ぐ赤土の畑を目に焼き付けたあと、暫く進んだところのガソリンスタンドでその場所のことを聞いてみると「そこはデジマというじゃがいもを作っている畑なんですよ」と聞いたことがあります。調べてみると「幻のじゃがいも」や「貴重」という言葉がでてくるし、機会があればいつの日か食べてみたいと頭の隅っこに閉まったまま年月が過ぎたのでした。
そしてついに初めて産地南串山町から「デジマ」を送っていただくことができ、本当に嬉しくて、ワクワクして「感謝」しかありません。というのもデジマは荷崩れをしにくく、汁物や煮物、ふかしてもとにかく味のバランスがよく、その使いやすさに定評があることから、いつかは生産者から直接送ってもらったデジマを食べてみたいとずっと思っていましたからもう嬉しくて嬉しくて。
お送り下さったのは雲仙市南串山町のなんぐしデジマプロジェクトチームさんから。
ここ南串山町は愛称「なんぐし」70年以上のじゃがいも栽培の歴史があって、春と秋に収穫されるデジマはどんな料理にも合うことから昔から人気のじゃがいもなんです。ところがここ数年の間に価格の低迷などからじゃがいも栽培を辞める農家が増え、じゃがいも栽培に不安が残る中、地元有志が「デジマを復活させ町を盛り上げよう」と立ち上がり設立したのが今回お送りくださった「なんぐしデジマプロジェクトチーム」さんです。
デジマは歴史の教科書に必ずでてくるポルトガルと貿易の窓口だった長崎の「出島」から名付けられたんだとか。デジマの特徴は何といっても薄い皮で、蒸しても揚げても皮ごと食べられるとても美味しいじゃやがいも。ではそのデジマ、これからいただいてみたいと思います。
まずは定番「じゃがバター」
洗ったじゃがいもを丸々一個をそのままラップに包む蒸し方じゃなくて、食べやすいように1/6程度にカットし、ラップをしレンジで600W約5分。その上にバターを一片のせて、いい具合に溶けたところで口の中へ。
ほんのり甘く、ホクホク、粘りもある。今までいろんなじゃがいもを食べてきましたが、これほど万能的といいますか優れたじゃがいもは初めてです。バランスに長けていて食べながら「今度サラダにしようっと」とすぐに思い起こしてしまいます。
味噌汁にも入れてみました。
火が通りやすいよう短冊切りにし、ちょっと力を入れると折れてしまいそうなくらいですが、そいつをフ~フ~しパクリッと口へ運ぶと、砕けることなく程よく溶ける感じです。味噌の味に負けない優しくふくよかなじゃがいもの味、当然ながらいつも使うじゃがいもとは比べものにならないほど。
高齢化が進み、やむ負えず離農するという農業の現実。本来あるべき場所に作物が育っていない、栽培されていない、なんとも寂しく切ない環境が日本のあっちこっちにあります。
しかし、その現状を打開しよう、町に活性化を取り戻そうと頑張っている農家があります。
今回お送り下さったデジマも正にそうで、じゃがいもで想いを繋げよう、一個のじゃがいもから笑顔になれるようにと、土に向かい、耕す姿の向こうにはきっと明るい未来があると思います。
美味しいですデジマ!ホクホクの中にじゃがいもの良さ満載!
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